大根の種の取り方
ダイコンの花と鞘
ダイコンは、おもに春と秋の年2回の栽培が可能です。
品種によっては、年に何度も栽培できるものもあります。
市販されている種を使うのも良いのですが、
やはり自家採種したものを使いたいという方も多いでしょう。
ダイコンを自家採種で育てるためには、
種を取るところから始めなければいけません。
ダイコンの種の取り方とは、どのようなものなのでしょうか。
[大根の種の取り方]
■ダイコンの種の取り方
ダイコンの種の取り方は、それほど難しくはありません。
花を咲かせてから刈り取るまでに少し時間がかかりますが、
1つ1つの作業の難易度は高くありません。
1本のダイコンからでも、たくさんの種が取れるので、
栽培しているダイコンの一部を種取り用に収穫せず置いておくのも良いでしょう。
まずは、種を取る手順をご紹介します。
1.花を咲かせる
ダイコンに花を咲かせなければ、種を取ることはできません。
品種によってトウ立ちしにくい性質のものもありますが、
基本的にはどの品種もトウ立ちすれば、花を咲かせます。
花が咲いた後は、特に人工受粉などをしなくても、自然と受粉します。
受粉した花は、散った後に鞘ができます。
熟すのを待ちます
2.熟すのを待つ
花後に鞘がたくさんできても、緑色をしているうちは、まだ熟していません。
鞘の中で種が熟すまで、じっくりと待つ必要があります。
熟す前に刈り取ってしまうと未熟な種しか取れないので、
種を播いても発芽率が極端に低かったり、生育不良が起きやすくなります。
鞘が割れないうちに刈り取りましょう
3.刈り取り
緑色だった鞘の色が淡い茶色になり、その後白っぽくなってきたら、
刈り取りのタイミングです。
株全体が完全に枯れるまで待っても良いですが、
そうすると今度は鞘がはじけて種が飛び散ることがあるので、
鞘が割れないうちに刈り取りましょう。
刈り取る時は、量が少なければ鞘の部分のみを摘み取っても良いですが、
枝ごと刈り取っても良いでしょう。
4.乾燥
刈り取った後は、1週間以上風通しの良い場所に置いて、全体を乾燥させましょう。
乾燥させることで鞘が取り除きやすくなります。
採取したダイコンの種
5.鞘と種を分ける
鞘が完全に乾いたら、次は鞘から種を取り出します。
ダイコンの種が入っている鞘は、数も多く細いので、
1つ1つ種を取るのはかなりの労力が必要となります。
まず、枝ごと刈り取って乾燥させていた場合は、枝から鞘を取ります。
その後、ブルーシートなど丈夫なシートの上に鞘を集め、
その上にシートをさらにかぶせて、上から踏みます。
量がそれほど多くない場合は、箱などに鞘を入れ、
ハンマーなどを使って叩くことで鞘が割れます。
ダイコンの種はとても硬いので、踏んだりハンマーで軽く叩いた程度では、
潰れることはありません。
鞘がすべて潰れたら、ザルなどに移します。
ザルを上下に何度か振ると、種よりも軽い鞘のクズなどが浮いてきます。
ある程度浮いたら、軽く息を吹きかけます。
すると、表面の種より軽いゴミだけが飛んでいきます。
ザルを振って息を吹きかける作業を何度も繰り返し、
ゴミがなくなったら保存用の袋などにタネを移して保存しておきます。
■ダイコンの種を取る時の注意点
ダイコンの種をとるのは、時間は少々かかりますが、
それほど難しいことではありません。
けれど、いくつかの注意点を知っておくと、採種しやすくなります。
・温度と日照時間
ダイコンの種を取るには、まずはトウ立ちをさせて花を咲かせる必要があります。
ダイコンの性質として、一定の期間低温に当たった後に高温に当たると、
トウ立ちをするというものがあります。
12度以下の低温に15日~20日当たった後、
春のような暖かい気温になると、トウ立ちしやすくなります。
それに加え、10時間以上の日長があれば、さらにトウ立ちしやすくなります。
ダイコン栽培の基本となる、春栽培と秋栽培のうち、
秋栽培の方がこれらの条件に当てはまりやすいので、
種をとるなら秋栽培がお勧めです。
・F1か固定種か
ダイコンにはたくさんの品種があり、その中でF1と呼ばれるものと、
固定種と呼ばれるものとに分かれます。
F1種の場合、一代交配とも呼ばれ、種を播いた後に育つその一代だけで、
目的の性質を持ったダイコンが育ちます。
そのため、栽培したF1種のダイコンから種を取ってそれを播いても、
親と同じ性質にはならない場合があるのです。
反対に、固定種は何代も同じ性質のものが育つ品種です。
自家採種するなら、固定種のものを選ぶようにしましょう。
ただし、固定種を選んでいたとしても、受粉時に他の品種と交配していた場合、
親とは違う性質のダイコンが育つ可能性が高くなります。
・害虫の発生
秋栽培で種を取る時、春になって気温が上がってくると、
今度は害虫の発生も増えます。
ダイコンのようなアブラナ科の植物には蝶や蛾が卵を産み付けることも多く、
気付いたらアオムシや毛虫だらけになってしまった、ということも多いです。
幼虫が発生しても、最初は葉を食べるだけなので、
花や鞘に直接の影響はありません。
けれど、葉が減ってしまうことによって光合成量が減り、
充実した種に育ちにくくなります。
トウ立ちしたダイコンは、背が高くなることも多いですが、
株全体を防虫ネットで覆ってしまうのも、害虫予防の1つです。
もし幼虫が発生しているのを見つけたら、
放置せずに捕殺して数を減らしておきましょう。
■参考
・ダイコン 地植えの栽培
・ダイコン プランターの栽培
・ダイコン 袋栽培
・ダイコンの収穫時期
・ダイコンの害虫
・ダイコン 太くならない理由は?