ダイコン 空洞症
中が空洞のダイコンの切り口
ダイコンを収穫した時、スーパーで買った時、
表面から眺めるだけでは分からないことも色々あります。
特に生理障害が起こっているダイコンは、内部に異常が起こることが多いため、
見た目だけでは判断できません。
ダイコンの空洞症という生理障害も、症状が見た目では分かりません。
ダイコンに起こる空洞症という生理障害は、どのようなものなのでしょうか。
[ダイコン 空洞症]
■主な症状
・中心に空洞
空洞症の主な症状は、ダイコン内部の空洞化です。
表面上は特に異常が見られませんが、切ってみると内部に空間ができています。
見た目で発生の判断ができないため、選別の時点ではじくのが難しいです。
そのまま出荷したものが消費者の手に渡り、内部が空洞になっているということで、
クレームの対象になることもあります。
空洞化した部分も食べられないわけではありませんが、
空洞が大きくなればなるほど、他の正常なダイコンより可食部が減ります。
また、内部といえども、商品価値が下がります。
■主な原因
・高温乾燥
空洞症の原因は、栽培中の高温や乾燥です。
実は、この根の内部に起こる空洞化は、栽培初期から発生します。
けれど、根が生長して肥大するにつれ、自然とこの空洞は埋まります。
ところが、栽培中に高温に長く当たったり、土が乾燥して十分な水分が吸えない時、
内部の生育がうまくいかず、空洞のまま収穫となる場合があるのです。
これが、空洞症となる主な流れです。
また、高温や乾燥のほかに、肥料が多い状態で栽培していると、
根の生育がスムーズにできず、空洞症となる場合があります。
もちろん、栽培したダイコンのすべてが空洞化するわけではありません。
中には、栽培初期から収穫まで、空洞ができずに済むダイコンもあります。
■対策
・播種時期と品種
ダイコンは移植が苦手なため、育てる時は種からになります。
播種する時期が適切でないと、
高温に当たって空洞症が発生する可能性が高くなります。
特に秋からの栽培では、夏の暑さがまだ残っていることが多いので、要注意です。
近年は異常気象によって、いつまで暑さが続くか分かりません。
あまり播種が遅くなると、今度は寒さが早くきてしまい、栽培が間に合いません。
見極めは難しいですが、天候の様子を見ながら、種まきの時期を狙いましょう。
また、品種によっても、空洞症が起こりやすいかどうかが変わります。
「夏の守」や「秋美香」などは、空洞症の発生が少ないといわれています。
・栽培中の管理
天候による高温は、人力ではどうしようもありません。
けれど、過乾燥や多肥が原因の場合は、管理の仕方によって、簡単に改善できます。
ダイコンのメイン可食部である根の部分を肥大させるには、適度な水分が必要です。
あまり乾燥した状態が続くと、空洞症以外の不調も起こる可能性が高くなります。
土の状態を見つつ、雨が長く降らない時などは、雨だけに頼らず、水やりを行います。
また、ダイコンは比較的、低肥料で栽培できる野菜です。
多肥にすると、別の不調も起こりやすくなるので、やや控えめを意識しましょう。
■判断基準
空洞症は、切ってみないと分からない生理障害です。
対策を実践しても、空洞ができることもあります。
空洞症が起こった時、原因はおおむね予測できますが、
思い当たる節がない場合もあります。
空洞症のメカニズムや原因について、不明な点もまだまだあるのです。
■参考
・ダイコン 地植えの栽培
・ダイコン プランターの栽培
・ダイコン 袋栽培
・ダイコンの収穫時期
・ダイコンの害虫
・ダイコン 太くならない理由は?