ダイコン 黒腐病
ダイコンがかかると厄介な病気に、黒腐病というものがあります。
黒腐病は、地上部の葉だけでなく、根にも症状を出すことがあります。
いったいどのような病気なのでしょうか。
さらに黒腐病の原因と対策をご紹介していきます。
[ダイコン 黒腐病]
■黒腐病の症状
黒腐病に感染した株は、地上部の葉と地下の根の両方に症状が出ます。
まず、地上部の葉に症状が出た場合、葉の一部から黄変していきます。
葉全体の色が薄くなるというよりは、一部分から色が変化していることが多い病気です。
その変色した部分は、症状が進むと少しずつ広がっていきます。
症状が進むと、黄変した部分の周りにある、
維管束部分が黒っぽい色に変化していきます。
維管束とは、簡単にいうと植物の中に通っている水の通り道のような場所です。
人間でいうところの血管と似たような器官です。
この維管束も、黄変していくのと同じようにだんだんと黒変部分が広がっていき、
やがて葉全体の維管束が黒変していきます。
維管束が黒変していくということは、
水や養分がうまく流れることができず、そのままその葉が枯死していきます。
・根の症状
地下にある根は、表面上はあまり変化が見られませんが、
光にすかしてみると、症状がよく分かります。
表面がデコボコしたり、著しく変色したりということはほとんどありませんが、
明るい場所で根の部分をすかしてみると、内部が飴色に変色しています。
外側はほとんど変化しませんが、切ってみると内側は変色しているため、
異常が出ていることはすぐに分かります。
変色した部分は、症状が進んでいくと腐敗したように黒く変色し、
やがて崩れて空洞になっていきます。
・臭いで見分ける
ダイコンがかかる病気の中で、
同じように腐敗したような症状が出る軟腐病がありますが、
軟腐病の場合は腐敗臭がするのに対し、
黒腐病は腐敗臭がしないことで区別することができます。
■ダイコン 黒腐病の原因
黒腐病の病原菌は、種子伝染か土壌による感染がおもです。
黒腐病に感染した株からタネをとった場合、
すでにその趣旨が黒腐病に感染している可能性があります。
また、土の中に黒腐病の病原菌が残っていた場合、
そのまま生き残って次に栽培するダイコンに感染する可能性があります。
黒腐病はダイコンだけでなく、ハクサイやカブ、
カリフラワーなどのアブラナ科の野菜がかかりやすい病気です。
そのため、前作でダイコン以外の野菜を栽培していたとしても、
その野菜が黒腐病に感染していた場合、
その残渣や栽培していた場所の土に菌が残っていると、
ダイコンにも感染する可能性が高くなってしまいます。
黒腐病の原因菌は、乾燥にとても強く、
乾燥状態でも1年は生存するといわれています。
そのため、残渣や土を乾燥させたとしても、水を含んだ時に感染してしまいます。
土や残渣に残された菌は、雨や水やり、
薬剤散布などによって水分を含むと、そこに入り込んで広がります。
水滴が散らばれば散らばるほど、菌が広がっていく仕組みです。
雨や水やりでは、水滴が土に跳ね返り、
泥がダイコンの根や葉の裏に付着します。
黒腐病の病原菌はこの付着した泥の中に潜んでいて、
そこから葉などに侵入し、病変させていきます。
一度感染すると、そこから水滴によって広がっていくため、防除が基本となります。
ダイコンでは春作と秋作が基本の作型となりますが、
春よりも秋に発生しやすい病気です。
特に、タネを早まきすると、発生の可能性が高くなる傾向にあります。
■黒腐病の対策
黒腐病に感染しないためには、まず健全な種子を使うところから始まります。
種子伝染の可能性があるため、消毒済みの種子を使えば、
最初から感染している可能性はぐっと低くなります。
また、連作することにより、前作から菌が持ち越される可能性も低くなります。
ダイコンは連作障害が出にくい野菜といわれていますが、
黒腐病に関しては、連作は避けた方が無難です。
ダイコンだけでなく、カブやハクサイ、
カリフラワーなどとの連作も避けた方が良いでしょう。
泥跳ねを軽減させるため、マルチの利用もお勧めです。
・黒腐病に効く薬剤
薬剤を利用して防除する場合は、Zボルドーやコサイドボルドーが使えます。
銅剤も使えますが、薬害が出る可能性が高いので、
軽減するためにはクレフノンを添加する必要があります。
■参考
・ダイコン 地植えの栽培
・ダイコン プランターの栽培
・ダイコン 袋栽培
・ダイコンの収穫時期
・ダイコンの害虫
・ダイコン 太くならない理由は?
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